NATタイプは、ルーターの設定や接続環境を見直すことで変更できる場合があります。まずはルーターのUPnPを有効にする方法を試し、それで改善しなければポート開放を検討します。ただし、二重ルーターや通信事業者側の制限があると、設定しても変わらないことがあります。
NATタイプとは
NAT(Network Address Translation)とは、インターネット側のグローバルIPアドレスと、家庭内機器のプライベートIPアドレスを変換する仕組みです。ゲーム機やパソコンのオンライン通信では、この変換の状態を「NATタイプ」として表示することがあります。
NATタイプの名称や判定方法は、ゲーム機やゲームソフトによって異なります。一般的には、次のように考えられます。
- オープン・タイプ1など:ほかの機器と接続しやすい状態
- モデレート・タイプ2など:通常は接続できるが、一部の通信で制限が出ることがある状態
- ストリクト・タイプ3など:接続相手やボイスチャットなどが制限されやすい状態
ただし、表示名と意味は機器ごとに異なるため、同じ「タイプ2」でも別の機器の表示と単純には比較できません。
NATタイプを変更する基本的な方法
安全性と手軽さを考えると、UPnP、ルーターの構成、ポート開放の順番で確認するのが基本です。
1. ルーターのUPnPを有効にする
UPnP(ユニバーサル・プラグ・アンド・プレイ)は、ゲーム機やアプリが必要な通信ポートをルーターに自動設定する機能です。対応している機器やゲームであれば、ポート番号を手動で入力せずにNATタイプが改善することがあります。
- スマートフォンやパソコンを自宅のネットワークに接続します。
- ブラウザーからルーターの管理画面を開きます。
- 「UPnP」「自動ポート開放」などの項目を探します。
- UPnPを有効にして、設定を保存します。
- ルーター、ゲーム機、パソコンを再起動します。
- ゲームや本体のネットワーク診断で、NATタイプを確認します。
管理画面の開き方や項目名は、ルーターのメーカーや機種によって異なります。UPnPを有効にしても変わらない場合は、ゲーム機側の再起動だけでなく、ルーターの電源を切ってしばらく待ってから入れ直すと、設定が反映されることがあります。
2. 二重ルーターを解消する
ホームゲートウェイと無線LANルーターなど、ルーター機能を持つ機器を2台以上使っていると、二重NATになることがあります。二重NATでは、通信が複数の機器を経由するため、UPnPやポート開放が正しく働かない場合があります。
次のような構成になっていないか確認してください。
- 回線事業者のホームゲートウェイに、別のルーターを接続している
- 中継器ではなく、ルーター機能が有効な機器を追加している
- メッシュWi-Fiの親機とホームゲートウェイの両方でルーター機能を使っている
二重ルーターを解消するには、追加したルーターをアクセスポイントモード、ブリッジモードなどに変更する方法があります。名称や切り替え方法は機種によって違うため、ルーターの取扱説明書で確認してください。
ただし、ホームゲートウェイをブリッジ化すると、電話機能や映像サービスなどが使えなくなる場合があります。回線事業者の機器を変更する前に、契約中のサービスへの影響を確認してください。
3. ゲーム機やパソコンに固定IPアドレスを設定する
ポート開放を使う場合は、ゲーム機やパソコンのIPアドレスが変わらないようにする必要があります。DHCP予約機能に対応したルーターなら、機器のMACアドレスに対して同じIPアドレスを割り当てる方法が一般的です。
手動設定をする場合は、IPアドレスだけでなく、サブネットマスク、デフォルトゲートウェイ、DNSの設定も必要です。値を誤ると、インターネットに接続できなくなることがあるため、分からない場合はルーターのDHCP予約を優先してください。
4. 必要なポートを開放する
ポート開放は、外部から特定の通信をゲーム機やパソコンへ転送する設定です。ゲームやプラットフォームごとに必要なポート番号と通信方式が異なるため、対象のゲームや機器が指定している情報を確認して設定します。
- ゲームまたはゲーム機の公式サポートで、必要なポート番号を確認します。
- ゲーム機やパソコンのIPアドレスを固定、またはDHCP予約します。
- ルーターの「ポートフォワーディング」「ポート開放」などの設定画面を開きます。
- 指定されたポート番号、TCPまたはUDPの種類、転送先のIPアドレスを入力します。
- 設定を保存し、ルーターとゲーム機を再起動します。
- ゲームのネットワーク診断で、NATタイプとオンライン機能を確認します。
ポート番号を適当に追加しても、NATタイプが改善するとは限りません。不要なポートを開けると、外部からの通信を受け付ける範囲が広がるため、必要なものだけ設定してください。
NATタイプが変更できない主な原因
ルーターを設定してもNATタイプが変わらない場合は、家庭内のルーター以外に原因がある可能性があります。
二重NATになっている
ルーターが2台あると、片方だけでUPnPやポート開放を設定しても通信が通らないことがあります。ルーターの管理画面で、インターネット側の接続方式やWAN側IPアドレスを確認し、上位に別のルーターやホームゲートウェイがないか確認してください。
通信事業者側の共有IPv4アドレスを使っている
インターネット回線によっては、複数の利用者が1つのIPv4アドレスを共有する仕組みが使われています。この場合、利用者が自宅のルーターでポート開放をしても、通信事業者側のNATを越えられず、NATタイプを変更できないことがあります。
ルーターの設定画面に表示されるWAN側IPアドレスと、インターネット上で確認できるIPアドレスが一致しない場合は、上位のNATがある可能性があります。ただし、IPアドレスの表示だけで原因を断定はできません。
この場合は、契約中の通信事業者に次の点を確認します。
- 利用中の接続方式で、利用者自身がポート開放できるか
- グローバルIPv4アドレスを利用できるか
- オンラインゲーム向けの接続方式やオプションがあるか
- IPv4接続とIPv6接続のどちらでゲーム通信を行っているか
IPv6接続の方式がゲームに合っていない
IPv6対応の回線でも、IPv4通信をどのように提供しているかによって、ポート開放の可否が変わります。IPv6そのものに対応していても、ゲームが主にIPv4で通信している場合は、IPv4側の接続方式がNATタイプに影響することがあります。
回線名だけで判断せず、契約しているプロバイダーの接続方式と、ゲーム機が実際に使っている通信方式を確認してください。
ゲームや本体側の判定が一時的に変わっている
NATタイプは、ルーターだけでなくゲーム機、ゲームサービス、ゲームソフト側の状態によって表示が変わることがあります。メンテナンスや一時的な障害が原因の場合、家庭内の設定を変更しても改善しません。
設定変更後も変化がないときは、同じネットワークに接続した別の機器ではなく、対象のゲーム機やパソコンで再診断してください。
DMZを使ってNATタイプを変更する方法はおすすめできる?
DMZ機能を使うと、指定した機器に多くの受信通信を転送できます。そのため、NATタイプが改善する場合がありますが、ゲーム機やパソコンをインターネット側へ広く公開する設定になりやすく、通常は最初に使う方法ではありません。
特にパソコンをDMZの対象にするのは避け、まずはUPnPや必要なポートだけの開放を試してください。ゲーム機で使用する場合でも、ルーターの説明書とゲームの公式案内を確認し、利用後は設定を元に戻すことをおすすめします。
NATタイプを変更するときの確認順
何度も設定を変更せず、次の順番で確認すると原因を切り分けやすくなります。
- ゲーム機やパソコンをルーターへ接続し、現在のNATタイプを記録する
- ルーターが1台だけか、二重ルーターになっていないか確認する
- ルーターのUPnPを有効にして、機器とルーターを再起動する
- 改善しない場合は、対象機器のIPアドレスをDHCP予約する
- ゲームやプラットフォームが指定するポートだけを開放する
- それでも変わらなければ、回線のIPv4・IPv6方式や通信事業者側のNATを確認する
設定を変更した後は、NATタイプだけでなく、オンライン対戦、マッチング、ボイスチャットなど、実際に困っていた機能が使えるかも確認してください。NATタイプの表示が変わらなくても、必要な通信が正常になっている場合があります。
NATタイプ変更の結論
NATタイプを変更したいときは、まずルーターのUPnPを有効にし、二重ルーターになっていないか確認します。改善しなければ、対象機器のIPアドレスを固定または予約したうえで、ゲームやプラットフォームが指定するポートだけを開放します。
それでも変更できない場合は、通信事業者側の共有IPv4アドレスや接続方式が原因かもしれません。ルーターの設定だけで解決できない可能性があるため、契約中のプロバイダーにポート開放の可否と利用中の接続方式を確認してください。







