ゲームのバッファブロートは、回線が混雑しているときに遅延(レイテンシ)が大きく増える現象です。測定では、通信していないときのPingと、ダウンロード・アップロード中のPingを比べます。対策は、ルーターのSQM(Smart Queue Management)やQoSを使い、回線速度を少し制限して通信キューの膨張を抑える方法が基本です。
ゲームで起きるバッファブロートとは
バッファブロートとは、ルーターや通信機器が大量のデータを長い待ち行列(バッファ)にため込むことで、通信の待ち時間が増える状態です。ダウンロードやアップロードの速度自体は出ていても、オンラインゲームの操作への反応が遅れることがあります。
たとえば、家族が動画を見たり、大容量ファイルをアップロードしたりしている間に、ゲームのPingが急上昇する場合は、バッファブロートが原因の一つとして考えられます。
- 操作してから画面に反映されるまで遅れる
- ゲーム中にPingが急上昇する
- キャラクターが瞬間移動したり、位置が巻き戻ったりする
- ボイスチャットが途切れたり、遅れて聞こえたりする
- 家の中で誰かが通信すると、ゲームだけ不安定になる
ただし、ゲームサーバーとの距離、Wi-Fiの電波状態、回線障害、ゲーム側のサーバーの混雑などでも似た症状は起こります。Pingが高いというだけで、バッファブロートと断定することはできません。
バッファブロートの測定方法
測定では、通信していないときの遅延と、回線を使い切る通信中の遅延を比較します。通信中にPingが大きく増えるほど、バッファブロートの影響が疑われます。
ブラウザーの測定サイトで確認する
代表的な方法は、バッファブロート測定に対応したテストサイトを使うことです。たとえば、WaveformのBufferbloat Testでは、通信負荷をかけた状態で遅延の変化を確認できます。
- ゲーム機やPC以外の端末で、大容量ダウンロードや動画再生を止めます。
- 可能であれば、測定するPCをルーターへ有線LANで接続します。
- 測定サイトを開き、通常時のPingと、ダウンロード・アップロード中のPingを確認します。
- ダウンロード中とアップロード中のどちらで遅延が増えるかを記録します。
- 時間帯を変えて複数回測定し、結果が毎回同じかを確認します。
1回だけの結果では、ゲームサーバーや測定先の一時的な混雑を区別しにくいことがあります。ゲームをする時間帯や、家族が通信する時間帯にも測定すると、実際の環境に近い判断ができます。
測定結果は「速度」より遅延の増加を見る
バッファブロートの測定で重要なのは、最大速度だけではありません。通信負荷がないときの遅延と、負荷をかけたときの遅延の差を見ます。
| 確認項目 | 見るポイント |
|---|---|
| 通常時のPing | 通信していないときの基本的な遅延 |
| ダウンロード中のPing | 受信通信が回線を混雑させたときの遅延 |
| アップロード中のPing | 送信通信が回線を混雑させたときの遅延 |
| ジッター | 遅延の揺れ。値が大きいほど通信が不安定になりやすい |
たとえば、通常時のPingが20msで、通信中も25〜35ms程度なら、少なくともその測定では遅延の増加は比較的小さいと考えられます。一方、通常時は20msなのに、ダウンロード中だけ200ms以上へ増えるなら、負荷時のキューによる遅延が大きい可能性があります。
この数値は判断のための計算例であり、すべてのゲームに共通する合格基準ではありません。ゲームの種類やサーバーの場所によって、許容できる遅延は変わります。
ゲームのバッファブロートを対策する方法
まず試したい対策は、ルーターでSQMまたは適切なQoSを設定することです。これらは通信を一定の速度で流し、ルーター内にデータが過剰にたまるのを抑えます。
1. ルーターでSQMを設定する
SQMは、通信の混雑を監視しながらパケットの順番を調整する機能です。機種によっては「Smart Queue Management」「SQM QoS」「FQ-CoDel」「CAKE」などの名称で表示されます。
設定画面にこれらの項目がない場合は、一般的なQoS機能を確認します。ただし、単にゲーム機を「高優先度」にするだけでは、回線全体のキューが膨らむ問題を十分に抑えられないことがあります。
- ルーターの管理画面を開きます。
- SQM、QoS、帯域制御などの設定項目を探します。
- 回線のダウンロード速度とアップロード速度を入力します。
- 通信速度の上限を、実測値より少し低く設定します。
- 設定後に、ダウンロード中とアップロード中の遅延を再測定します。
- 速度と遅延のバランスを見ながら、上限値を調整します。
上限値は、まず実際に測定した最大速度の90〜95%程度を出発点にすると調整しやすい場合があります。これは環境ごとに変わる目安です。回線速度の測定結果が時間帯によって大きく変わる場合は、混雑時にも安定する値を基準にします。
たとえば、実測値が下り500Mbps、上り100Mbpsだった場合、計算例として下り450〜475Mbps、上り90〜95Mbps付近から試します。設定後に遅延が十分下がらなければ、速度上限をさらに少し下げます。
2. ダウンロードとアップロードを別々に調整する
ダウンロード中だけPingが上がる場合と、アップロード中だけPingが上がる場合では、調整する項目が異なります。特にアップロードは回線容量が小さいことが多く、写真のバックアップや動画配信でも混雑しやすくなります。
| 症状 | 優先して確認する設定 |
|---|---|
| ゲームの更新や動画視聴中に遅延が増える | ダウンロード側の速度上限、SQMのダウンロード設定 |
| 写真の同期や配信中に遅延が増える | アップロード側の速度上限、SQMのアップロード設定 |
| どちらでも遅延が増える | 下り・上り両方の設定、ルーターの処理能力、回線方式 |
速度上限を下げすぎると、ゲームの遅延は改善しても、ダウンロードや動画視聴が遅くなります。測定結果を見ながら、ゲーム中に必要な遅延の低さと、普段の通信速度を両立できる範囲に調整してください。
3. ゲーム機やPCを有線LANにする
Wi-Fiを使っている場合は、可能ならゲーム機やPCをルーターへ有線LANで接続します。有線LANにすると、Wi-Fiの電波干渉や距離による揺れを切り分けやすくなります。
ただし、有線LANにするだけでバッファブロートが解消するとは限りません。Wi-Fiが原因の遅延と、回線が混雑したときの遅延は別の問題です。有線接続後も負荷時だけPingが増えるなら、ルーターのSQMやQoSを確認します。
4. ゲーム以外の通信を見直す
ルーターに混雑制御機能がない場合は、ゲーム中に回線を大きく使う通信を止める方法もあります。
- ゲーム機やPCの自動アップデートを一時停止する
- クラウドへの写真・動画バックアップを止める
- 大容量ファイルのダウンロードやアップロードを避ける
- 動画配信やライブ配信の画質・ビットレートを下げる
- 家庭内の別端末で動いている同期アプリを確認する
この方法は手軽ですが、家族の端末を含むすべての通信を自動的に調整できるわけではありません。複数の端末が同時に通信する家庭では、SQMやQoSを使ったほうが管理しやすい場合があります。
対策後に改善したか確認する方法
対策の効果は、速度だけでなく、通信負荷中のPingがどれだけ下がったかで判断します。
- 対策前と同じ測定サイト、同じ接続方法で測定します。
- 通常時、ダウンロード中、アップロード中のPingを記録します。
- 対策前の結果と、負荷時のPingを比較します。
- 実際にゲームをプレイし、ほかの端末で通信を行ったときの変化を確認します。
- 速度が必要以上に低下していないか確認し、必要なら上限値を少し調整します。
対策後もゲーム中だけ不安定な場合は、バッファブロート以外の原因を確認します。ゲームサーバーまでの距離、ゲーム側の障害、Wi-Fiの電波、ルーターの性能、回線事業者の混雑などが候補になります。
測定しても原因を判断できないときの切り分け
通常時からPingが高い場合は、バッファブロートだけが原因とは限りません。通信負荷をかけていない状態でも遅延が高いなら、ゲームサーバーの場所や経路、回線方式などを確認します。
測定サイトでは問題がないのにゲームだけ遅い場合は、測定先とゲームサーバーが異なる点に注意が必要です。ゲーム内のネットワーク統計表示や、ゲーム機・PCの接続診断で、ゲームサーバーに近い条件を確認できる場合があります。
また、IPv4とIPv6、PPPoEとIPoEなどの接続方式によって、通信経路や混雑状況が変わることがあります。接続方式の変更は契約やルーターの対応状況に左右されるため、設定を変える前に、現在の接続方式と契約条件を確認してください。
ゲームのバッファブロート対策で最初にすること
まずはゲーム中にほかの端末で通信を行い、負荷がないときと比べてPingがどれだけ増えるかを測定します。負荷時だけ遅延が大きく増えるなら、ルーターのSQMまたはQoSを有効にし、実測速度の90〜95%程度から速度上限を調整してください。
有線LANへの変更や不要な大容量通信の停止も、原因の切り分けに役立ちます。対策後も改善しない場合は、Wi-Fi、ゲームサーバー、回線の混雑、ルーター性能を順番に確認すると、バッファブロートとの違いを判断しやすくなります。







