ゲーム配信のアップロードを安定させるには、有線LANを使い、配信ビットレートを回線の実測アップロード速度より低く設定することが基本です。速度の数値だけでなく、配信中の回線混雑、Wi-Fiの電波状態、パソコンの処理負荷も安定性に影響します。
まず配信ビットレートを実測速度より低く設定する
配信ビットレートとは、映像や音声を1秒あたりどれだけのデータ量で送るかを表す数値です。設定が高すぎると、アップロード速度が一時的に足りなくなり、映像が止まったり「ドロップフレーム」が増えたりします。
目安として、配信ビットレートは実際に測ったアップロード速度の半分から7割程度までに抑えると、余裕を確保しやすくなります。これは一般的な設定の考え方であり、配信サービスの推奨値や回線の混雑状況によって調整が必要です。
計算例
仮に、配信中に安定して使えるアップロード速度が20Mbpsだった場合、配信ビットレートを6Mbpsに設定すると、計算上は次のようになります。
20Mbps − 6Mbps = 14Mbps
この余裕があれば、ゲーム本体の通信やほかの通信が発生しても、配信データが回線を使い切りにくくなります。ただし、速度テストの最大値ではなく、ゲームを起動して普段の時間帯に測った値を基準にしてください。
Wi-Fiより有線LANを優先する
配信に使うパソコンやゲーム機は、可能ならルーターとLANケーブルで接続してください。有線LANは、壁や距離、ほかの無線機器による干渉を受けにくく、速度だけでなく通信の遅延や揺れも安定しやすい傾向があります。
Wi-Fiを使う場合は、次の点を見直します。
- ルーターと配信機器を近づける
- 可能なら5GHz帯または対応する新しい無線規格を使う
- 電子レンジやBluetooth機器など、電波干渉の原因になり得る機器から離す
- 中継器を何台も経由しない
- 配信中に大容量のダウンロードや動画視聴を同時に行わない
Wi-Fiの速度が十分に表示されていても、電波の混雑によって通信が一時的に不安定になることがあります。配信中に映像が止まる場合は、速度だけでなく接続方法も確認してください。
配信前にアップロード速度を実際の環境で測る
配信の直前に、配信機器と同じ接続方法でアップロード速度を測定します。パソコンを有線LANで使うなら有線LANのパソコンで、ゲーム機をWi-Fiで使うならゲーム機に近い環境で確認することが大切です。
- 配信する時間帯に、インターネット速度を測定する。
- 配信中に使う機器と同じネットワーク接続で測定する。
- 複数回測定し、最も高い値ではなく低めの値を基準にする。
- その値に余裕を残して、配信ビットレートを設定する。
- 短い限定配信や録画で、映像が止まらないか確認する。
昼間は安定していても、夜間に利用者が増えて速度が落ちることがあります。普段配信する時間帯に測定し、配信中の統計画面でドロップフレームや接続状態も確認してください。
配信中の通信を減らして回線を空ける
同じ回線で複数の機器が通信すると、配信に使えるアップロード帯域が減ります。特に、クラウドへのバックアップ、写真や動画の同期、別の配信、ファイルのアップロードは、配信を不安定にしやすい通信です。
配信前に、次のような処理を止めるか時間をずらします。
- クラウドストレージの同期
- ゲームやOSの更新
- 動画ファイルのアップロード
- 別の端末でのライブ配信
- 大容量ファイルのダウンロード
家族や同居人も同じ回線を使う場合は、配信中に大容量通信が重ならないようにします。ルーターに通信の優先制御機能がある場合でも、機種や設定によって効果が異なるため、設定後に実際の配信で確認してください。
配信ソフトの設定を段階的に下げる
アップロードが不安定なときは、いきなり高画質設定にせず、映像の負荷を一つずつ下げます。一般的には、解像度やフレームレート、ビットレートを下げるほど、送信するデータ量とパソコンの処理負荷を減らせます。
調整する順番の一例は次のとおりです。
- 配信ビットレートを少し下げる。
- 改善しなければ、解像度を下げる。
- 動きの多いゲームで負荷が高ければ、フレームレートを下げる。
- 配信ソフトの統計画面で、ドロップフレームとエンコード負荷を確認する。
- 映像が安定した設定で、数分間のテスト配信を行う。
たとえば、配信ビットレートを下げても「エンコード遅延」や「レンダリング遅延」が増える場合、原因は回線ではなくパソコンやゲーム機の処理負荷かもしれません。ゲームの画質設定、フレームレート、配信ソフトのエンコーダー設定も見直します。
症状別に原因を切り分ける
配信の不調は、映像が止まる場所や配信ソフトの統計表示によって、確認するポイントが変わります。
| 症状・表示 | 考えられる原因 | 最初に行うこと |
|---|---|---|
| ドロップフレームが増える | アップロード回線の不足、Wi-Fiの不安定さ、回線の混雑 | 有線LANに変更し、ビットレートを下げる |
| エンコード遅延が増える | CPUやGPUの処理負荷 | ゲームや配信の画質を下げ、ほかのソフトを終了する |
| レンダリング遅延が増える | ゲームや映像の描画負荷 | ゲームのフレームレートや画質を下げる |
| 配信だけでなくゲームも切断される | ルーター、回線、接続機器の問題 | ルーターを再起動し、別の時間帯や有線接続で試す |
配信ソフトに表示される項目名はソフトによって異なります。複数の症状が同時に出る場合は、まず有線接続とビットレートの見直しを行い、その後にパソコンの負荷を確認すると切り分けやすくなります。
配信が安定しないときの確認手順
設定を何度も変更するより、条件を一つずつ固定して確認すると原因を見つけやすくなります。
- 配信機器をLANケーブルでルーターに接続する。
- 配信中に使っていない端末の大容量通信を止める。
- 普段配信する時間帯にアップロード速度を測る。
- 測定値に余裕を残して、配信ビットレートを設定する。
- ゲームの画質やフレームレートを一時的に下げる。
- 短時間のテスト配信を行い、ドロップフレームなどの数値を確認する。
- 問題がなければ、画質やビットレートを少しずつ戻す。
この手順で安定するなら、直前に変更した設定や接続方法が原因だった可能性があります。逆に、有線LANで低いビットレートにしても切断する場合は、回線事業者やルーター、配信サービス側の障害なども確認が必要です。
アップロード速度が十分でも不安定な場合
アップロード速度の測定値が高くても、常に安定して通信できるとは限りません。回線の混雑、パケットロス、遅延の揺れ、ルーターの不調などがあると、速度テストでは分かりにくい問題が起こることがあります。
次の条件を変えても改善しない場合は、配信ソフトの統計情報を記録し、発生時刻とともに回線事業者や配信サービスのサポートへ相談します。
- 有線LANとWi-Fiを切り替える
- 配信する時間帯を変える
- 配信ビットレートを下げる
- 別の機器で同じ回線を試す
- ルーターと配信機器を再起動する
一時的な速度低下と、毎回同じ時間に起きる混雑では、対応方法が異なります。測定値と配信ソフトのエラー表示を残しておくと、原因を説明しやすくなります。
ゲーム配信のアップロードを安定させる要点
最初に行うことは、有線LANへの変更、配信中の大容量通信の停止、実測アップロード速度に余裕を持たせたビットレート設定です。それでも改善しない場合は、ドロップフレーム、エンコード遅延、レンダリング遅延のどれが増えているかを確認します。
回線の数値だけで判断せず、普段配信する時間帯と実際の配信環境でテストしてください。安定した設定を見つけた後に、画質やフレームレートを少しずつ上げるのが安全です。







