オンラインゲームのMTU設定は、まず自動設定または初期値のままで問題ありません。通信が安定しているなら、MTUを変更しても速度や ping が必ず改善するわけではありません。切断や接続エラーがある場合だけ、回線方式やVPNの有無に合わせて調整します。
MTUとは何か
MTU(Maximum Transmission Unit)は、1回の通信で送れるデータの最大サイズです。一般的なイーサネット回線では、MTUの初期値は1500です。
送るデータがMTUを超えると、通信機器がデータを分割したり、経路によっては送信できずに再送したりします。この状態が起きると、オンラインゲームで接続エラーや通信の不安定さにつながることがあります。
ただし、MTUは通信速度やpingの数値を直接よくする設定ではありません。問題がない環境で変更すると、かえって通信できるデータ量が減ったり、原因の切り分けが難しくなったりします。
オンラインゲームのMTUは何に設定すればいい?
目安は次のとおりです。実際に適切な値は、契約している回線、接続方式、ルーター、VPNなどによって変わります。
| 接続環境 | MTUの目安 | 判断 |
|---|---|---|
| 一般的な光回線・イーサネット接続 | 1500 | まず初期値を使用する |
| PPPoE接続 | 1492が目安 | プロバイダーやルーターの設定に合わせる |
| VPNを使用 | 1500より小さい値になる場合がある | VPNサービスや接続機器の案内を確認する |
| 通信エラーの原因を調べる場合 | 1400前後から検証することがある | 検証用の値であり、全環境の推奨値ではない |
PPPoEは、ユーザー認証を使ってインターネットへ接続する方式です。通信に追加の情報が付くため、一般にMTUは1500より小さい1492が目安になります。ただし、回線事業者や機器の構成によって異なるため、1492と決めつけないでください。
MTUを変更したほうがよい症状
次のような症状がある場合は、MTUが経路に合っていない可能性があります。ただし、サーバー障害、Wi-Fiの電波状態、NAT、ルーターの不具合など、別の原因でも同じ症状は起きます。
- ゲームのログイン時だけ接続に失敗する
- 特定のゲームやサーバーだけ通信できない
- ダウンロードやボイスチャットは使えるのに、対戦中に切断される
- VPN接続時だけ接続エラーが起きる
- Web閲覧はできるが、一部の通信だけ失敗する
反対に、ゲームが問題なくプレイできているなら、MTUを変更する必要はほとんどありません。オンラインゲームのラグは、通信経路の混雑、Wi-Fiの干渉、ゲームサーバーとの距離、端末やルーターの処理状態などにも左右されます。
MTUの適切な値を調べる方法
パソコンを同じルーターに接続できるなら、pingを使って経路上で分割されない最大サイズを調べられます。これは主にIPv4通信の検証方法です。
- パソコンを、ゲーム機と同じルーターへ接続します。可能であれば、検証中はWi-FiではなくLANケーブルを使います。
- Windowsでコマンドプロンプトを開きます。
ping -f -l 1472 8.8.8.8を実行します。- 「パケットの断片化が必要ですが、DFが設定されています」などの表示が出る場合は、1472の数字を小さくして再実行します。
- 成功する最大の値に、IPv4のヘッダー分として28を加えます。たとえば、最大1472で成功するなら、MTUの計算値は1500です。
「1472」は通信データ部分のサイズで、MTUそのものではありません。計算式はデータサイズ1472+IPヘッダー20+ICMPヘッダー8=1500です。
この方法で分かるのは、指定した宛先までのIPv4経路における目安です。相手先の応答設定やIPv6通信、ゲーム専用サーバーの経路とは異なる場合があるため、測定結果だけで最適値を断定はできません。
測定で成功する最大値が分からない場合
pingの応答がない場合は、宛先側がpingを拒否している可能性があります。その場合、測定結果を「MTUが不適切」とは判断できません。
また、IPv6ではIPv4とヘッダーサイズや分割の仕組みが異なります。ゲーム機がIPv6を利用している場合、IPv4のpingで得た値がそのままゲーム通信に適用できるとは限りません。
ゲーム機のMTU設定を変更する手順
MTUを変更できるかどうかや、入力項目の名称はゲーム機によって異なります。設定画面にMTUの項目がない機種では、ルーター側の設定や回線方式を確認します。
- 現在のMTU値を控えます。初期値へ戻せるよう、変更前の設定を記録してください。
- ゲーム機またはルーターのインターネット接続設定を開きます。
- MTUを手動設定できる場合は、回線や測定結果に合う値を入力します。
- 接続テストを実行し、インターネット接続だけでなく、ゲームへのログインやオンライン対戦も確認します。
- 改善しない、または接続できなくなった場合は、元の値へ戻します。
設定変更後に接続テストが成功しても、ゲーム内の通信が安定したとは限りません。実際に問題が起きていたゲームを起動し、ログイン、マッチング、対戦、ボイスチャットなどを確認してください。
MTUを変更しても改善しないときの確認点
MTU以外の原因が疑われる場合は、次の順番で切り分けると判断しやすくなります。
- ゲームやプラットフォームの障害情報を確認する
- ゲーム機をルーターへ近づける、またはLANケーブルで接続する
- ルーターとゲーム機を再起動する
- VPNや中継機を一時的に外して接続を試す
- NATタイプやルーターのファームウェアを確認する
- 特定のゲームだけで起きるか、すべてのオンラインゲームで起きるかを比べる
Wi-Fiの電波干渉や回線の混雑が原因なら、MTUを変更しても改善しません。特定の時間帯だけ遅い場合は、MTUよりも回線混雑や無線環境を先に疑います。
オンラインゲームのMTU設定で迷ったときの結論
問題がなければMTUは初期値のまま、一般的なイーサネット接続なら1500を使うのが基本です。PPPoEなら1492が目安になることがありますが、回線や機器の案内を優先してください。
接続エラーがある場合は、同じルーターに接続したパソコンで経路を測定し、設定変更後はゲーム内の通信まで確認します。変更しても改善しないときは、Wi-Fi、VPN、NAT、サーバー障害など別の原因を切り分け、通信できなくなった場合は変更前の値へ戻してください。







